愛にできることはまだあったよ。『天気の子』感想(ネタバレ注意)
こんばんは。一番好きな新海作品は『言の葉の庭』のいかまっとです。
『天気の子』のエントリーは二つ目です。
初めの記事はネタバレを避けた結果書けないことが多かったので、
こっちでは思う存分備忘録として感想を残したいと思います。
わかりにくいところや解釈違いなどありましたら申し訳ございません。
超絶ネタバレ注意です。
愛にできることはまだあったよ。『天気の子』感想
めっちゃおもしろかったです。
盛りだくさんで超面白かったです。
笑いあり、涙あり、小ネタありのボーイミーツガール。
とは言ってもエンタメ要素でごちゃごちゃすることなく、何が描きたかったのかストレートに伝わってきました。
2時間でテンポを落とすことなく話をまとめるって本当にすごいと思います。
気がついたらエンディングクレジット。
『君の名は。』と方向性は異なりますが、同じくらい面白かったです。
映画の随所に仕込まれた現実感の意味するところ
君の名は。とは全く違うな、と感じたのは作品の随所に描かれた「現実感」です。
やむことのない大雨。
金欠のため風俗店で働くことを選ぶ。
児童相談所に保護される。
警察に補導。
就活。(新海監督はリクスーがお好きなのでしょうか…?)
片親。
ぜんそくの娘さん。
他人を犠牲に自分の大切なものを守ること。
「現実感」を感じた理由は2つです。
一つ目は、主人公とヒロインの愛のために犠牲が出ること。
大きな障壁とは、愛のために天気を捨てなければならない(圧倒的多数の権利を犠牲にしないといけない)ことです。確かに『君の名は。』の二人にも時間と彗星という障壁がありましたが、世界(糸守)を助ける=ヒロインを助けることだったので、第三者の犠牲はありませんでした。
しかし、『天気の子』にて主人公はほぼ迷いなくヒロインを選びます。
犠牲を厭わずに。ここの思い切りと、
ヒロインしか見えてない感じが若々しくて青春だなーと思いました。
恩人に拳銃むけちゃうくらいだし。
迷いなさすぎて清々しい。
「友達と恋人(あたし)どっちとるの?」
っていうよくある痴話喧嘩の模範解答です。「晴れ(友達)よりも君がいい」って言いましょう。それで何が起こってもいかまっとは一切責任を取りません。
二つ目は、現実の世界で起こりうる困難や苦悩が描かれていたからです。誰しも一つくらいは思い当たるものがあるはず。私も就活を終えたばかりなので、夏美ちゃんの就活シーンは穏やかに見ていられませんでした。
何故こんな描写をしたのでしょうか。
上映中、ずっと考えてました。
「君の名は。」にはこんな障壁やしがらみは描かれていない。
だからこそ日本中が恋をするような、すんなりと受け入れられるラブストーリーになっていた。
今作は敢えて「現実感」を出すことで、
そんな中でも愛を貫く主人公の行動力や、愛のパワーなんかを際立たせたかったのかな。もしくは、私たちの生きる現実の中でも選ぼうと思えば「愛」を選べるんだ、みたいなことが言いたかったのかも。この映画全体を通してお前にとって大事なものは何か、考え直して見ろよーって言われてる気がしました。極端なフィクションと現実をこじつけてもしゃーないっちゃしゃーないんですけどね。何にせよ『君の名は。』よりパンチが効いてます。視聴後、胸の奥に爽やかさとモヤモヤ感両方とも残りました。
愛にできることはまだあったよ。
劇中歌「愛にできることはまだあるかい」は名曲です。
その歌詞になぞらえるなら、
この映画は「愛にできることはまだあったよ」って感じでした。
愛のために東京沈没させるとか。
そこまでやった人はフィクションの中でも珍しいんじゃないかな。
ヒロインと世界のどちらかを選ばないといけない時、迷うことなくヒロインを選べる主人公の愛と一途さ。
いっそ気持ちがいいほどにまっすぐ。
若さで片付けるのは勿体ない感じがしました。
しかし誰からも責められないのはちょっと違和感もあったり。愛のためなら何やったっていいのか、って野暮なツッコミを入れてしまいました。
ちなみに「グランドエスケープ」も名曲です。
今は小説版を読んでます。
小説を読み終わったらまた記事書きます。